鏡(村上春樹)
The Mirror(Haruki Murakami)
Зеркало(Харуки Мураками)
村上春樹の短編集「カンガルー日和」収録の「鏡」から
ロシア語では日本と同じХороший день для кенгуруという短編集が出ていますが、
英語の場合短編は再編集されて、The MirrorはBlind Willow, Sleeping Womanというタイトルの短編集の中に収録されています。
僕は高校時代剣道をやっていたから腕には自信がある。相手が素人なら日本刀の真剣持ってたって別に怖かなかったさ。その頃はね。今なら一目散に逃げるさ、もちろん。(文庫p76)
I'd practised kendo in school and felt pretty confident of my ability to fend off anyone. If an attacker was an amateur, and even if he had a real sword with him, that wouldn't have frightened me. I was young, remenber. If it happened now, I'd run like hell.(p70)
- fend -をかわす・追い払う・守る (=defend)
В школе, в старших классах, я занимался кэндо, так что руки у меня тренированные. Тогда я бы схватился с любым противником, будь у него даже настоящий самурайский меч. Только не с мастером, конечно. Но это — тогда. А сейчас только меня бы и видели.
- только и видели кого あっという間に消えうせた
今なら一目散に逃げるさ、もちろん。のところが何でかめっちゃ好きなんです。英語はI'd run like hell. ロシア語はА сейчас только меня бы и видели. 両方いい味出てます。贅沢言っていいなら、日本語と同じようにもちろんを倒置させて欲しかった。of course とか конечно が文末にくるのは変なのかな。辞書の例文ではたくさん見つけれたけど。↓↓
The committee was in favor-always excepting Wilson, of course.委員会は賛成だった、もちろんいつものようにウィルソンを除いては。(ジーニアス英和大辞典)
事情は知らないけど、ウィルソン可哀想(笑) もちろんいつものようにウィルソンは除かれる…
ロシア語の場合前文にконечно 出しちゃってるからな…難しい。
素人という単語は英語の場合amateur で問題ないけど、ロシア語は「素人」で和露辞典ひいても любитель や дилетант(ディレッタント美術芸術などの素人愛好家) などの「愛好家」というニュアンスのしか載ってないので、どうしても「プロじゃない」という言い方をしないとだめなんですかね。неспециалист とか。самодеятельный という形容詞を使うてもあるかも?
あともうひとつこの文章でおもしろいのは、日本刀の真剣がнастоящий самурайский меч(侍の真剣)になっている所ですね!英語は訳していないし、訳すならяпонский でいいと思うけど…