Inter Ice Age 4(Kobo Abe)
安部公房『第四間氷期』 今度は英語で!
世間が幾本の柱で支えられているのかは知らないが、すくなくもその中の三本は、不明と無知と愚かさという柱らしい。(文庫p16)
I don't know how many props support the world, but three of them at least are obtuseness, ignorance, and stupidity.(p12)
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obtuseness←obtuse鈍感な(obtususというラテン語から。ob =against /tundere=to beat ~を打ち負かす→鈍らせる→鈍感な)
地球の誕生は今から46億年前と言われています。時間と共に形が変化する放射線元素(ウラン)の崩壊速度によって測定されたものです。
一方、進化論ではなく創造論を根拠にした、炭素14c法などの測定では地球の誕生はもっと最近で、1万年前だと主張する科学者(科学者?神学者?)もいるらしいです。科学的なことは全然わかりませんが、46億年と1万年って差ありすぎwww
日本に生れて育った私は進化論の方を普通に受け入れてしまうのですが、この世界が1万年前に神によって創造されたと考えるのも面白いですね。宇宙の果てとか考えると神って存在してるような気がする。
進化論に沿っていくと、46億年前に地球が誕生してから温暖期xx万年・氷河期xx万年というサイクルが続きます。氷河期の中でも寒い時期を氷期、温かい時期を間氷期と呼び、1万年前に最後の氷期が終わり、現代は第四間氷期にあたるらしいです。
安部公房『第四間氷期』においては、近い将来第四間氷期が終わり、極端な海面上昇によって陸地のほとんどが海に沈んでしまうという、という予測が立てられます。人類は生き残るために水棲人になるようです。私もなりたい。
地球ってなんなの?宇宙ってなんなの?人間ってなんなの!?!?
第四間氷期 (安部公房)
Четвёртый ледниковый период(Кобо Абэ)
主人公勝見博士が発明した「予言機械」によって、地球に将来第四間氷期が訪れ、人間はその環境に適応するために「水棲人間」になる、という予言がなされます。筋書きはまあ置いといて、小説の序盤に語られた次の一言が気に入りました。開発途中の「予言機械」に対して、世間が好き勝手に評価することへの皮肉です。
世間が幾本の柱で支えられているのかは知らないが、すくなくもその中の三本は、不明と無知と愚かさという柱らしい。(文庫p16)
Не знаю, на скольких столбах держится мир, но по крайней мере три из них - это, наверное, темнота, невежество и тупость.
- столб 柱
- темнота =тьма 闇・曖昧さ・無知
- тупость[ж] 切れ味が悪いこと・愚鈍 ←тупой 鈍い・愚かな
この作品が雑誌『世界』に連載され始めたのが1958年、ちょうど50年前です。まったく驚かざるおえません。いったい安部公房って・・・