世界の終りとハードボイルドワンダーランド
Hard-boiled wonderland and the End of the World
Страна Чудес без тормозов и Конец Света
- чудес←чудо(奇跡・不思議なこと・驚異)の複数生格
- тормоз ブレーキ・・・
ロシア語のタイトルは直訳すると”ブレーキの利かない奇跡の国”?
ハードボイルドの的確な訳がロシア語にはないみたいです。日本語では結構一般に知られてるカタカナ語のひとつなのに・・・(Wikiにも長い記事があるし、最近読んだ「銀魂」にハードボイルドを売りにする?面白いキャラが出てました)
試しに英露辞典で"hard-boided”をひいてみると「堅茹で卵(яйцо вкрутую)」についてしか載っていません・・・(Oxford Russian dictionaryより)
難しいけど…ロシア人としてはこれでしっくりくるんやろうか・・・
世界の終りで一番好きな場面のひとつはここです↓↓
「混乱し、とまどっている」と私は言った。
「何の知識もなく、何のヒントもなく、ドアの一枚もない」
(文庫p230)"Lost? Confused?" I said, "I don't have a clue. No idea, no door."
-И бардак, и кавардак,- подтвердил я.
-Я не понимаю, что происходит. Ни малейшей подсказки, ни дверь...(p182)
ドアに関するやり取りは本当に好きだあ!
Sputnik Sweetheart(Haruki Murakami)
14歳のときに「ノルウェイの森」を読んで以来ずっと、村上春樹は断トツで大好きな作家です。短編小説・長編小説・エッセイとほとんどすべて読破して、特に気に入ったものは何十回と読んできました。たぶん一生読み続けるだろうなと思います。
ぼくは眼を閉じ、耳を澄ませ、地球の引力を唯ひとつの絆として天空を通過しつづけているスプートニクの末裔たちのことを思った。彼らは孤独な金属の塊として、さえぎるものもない宇宙の暗黒の中でふとめぐり会い、すれ違い、そして永遠に別れていくのだ。かわす言葉もなく、結ぶ約束もなく。(文庫p273)
I closed my eyes and listened carefully for the descendants of Sputnik, even now circling the Earth, gravity their only tie to the planet. Lonely metal souls in the unimpeded darkness of space, they meet, pass each other, and part, never to meet again. No words passing between them. No promises to keep. (p196)
・descendant ⇔ ancestor
・impede = ~を遅らせる・邪魔する 【-pede はペダルpedal と同じ語源で「足」の意味。 足を im(in)して足枷して邪魔をする】
・孤独な金属の塊 = lonely metal souls?? 魂の誤訳かなぁ・・確かに漢字似ているけど
・「ふと」ってどうにか訳してほしかった。
ほんとにこの文章は気に入っている。ありがたいお経みたいに記憶しています。